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2022.11.02

【開発秘話】 職器シリーズ 箸

TOKYO CRAFTSの職器シリーズ箸の写真

アウトドアで用いるのであれば、携行性に優れた箸が望ましい。実際に、コンパクトで収納しやすい箸というのは、従来より市場に数多く存在していた。

しかし、「コンパクトであること=携行性に優れる」と言えるだろうか。箸は本来2つの棒を対にして使うもの。

そのままではバラバラになっており、対のもう片方をなくす心配さえある。

”より持ち運びに優れたお箸は製作できないものか?”

そこに着目した製品開発メンバーは、プロダクトの「さらなる携行性」を求めて箸の開発を開始した。

”2つをひとつ”にして収納するという発想

TOKYO CRAFTSの職器シリーズ箸の写真

職器シリーズ 箸はそれぞれ対となる箸が、”一体となる収納ギミック”が考案されている。

箸の持ち手部分と、食材を掴む部分はそれぞれ別のパーツで接続させた。あえて別のパーツをリンクさせることで、平行移動と回転運動が可能になっている。

TOKYO CRAFTSの職人シリーズ箸を収納した写真

そうすることで、1対の箸を互いに組み合わせての収納が可能になり、必ずしも収納ケースを使用する必要はない。

それぞれが一体となって収納できることで、部品をなくす心配がなく、収納がより一層ラクになる。

求められるのは”確かで精密な加工技術”だった

燕三条市の駅の写真

職器シリーズ 箸の製造には繊細で高度な加工技術を必要とする。素材となる金属を細かく”削り出す”ことで、最終的に箸の形状に至るからだ。

職器シリーズ箸の製造工場の写真

細々とした精密加工を実現するには、ものづくりのまち、燕三条市にある工場の切削加工技術が必須であった。

”お箸の製造は過去にも経験がありました。しかし職器シリーズ 箸のような特殊なギミックを持ったプロダクトの製造ははじめてで、実現できるのか日々悶々としながらの製作でしたね。”

TOKYO CRAFTS職器シリーズ箸の生産者

そうお話するのは、実際に製造にご協力をいただいた工場、代表の長谷川さんだ。

TOKYO CRAFTS職器シリーズ箸の製造写真

素材にステンレスではなく、アルミを採用したワケ

TOKYO CRAFTS職器シリーズ箸と器に盛られたサラダ

職器シリーズ 箸はアルミ合金を使用している。長谷川さんに素材の選定理由やその意図を尋ねてみた。

”当初あがってきた企画段階では、ステンレスでの加工予定でした。しかし、アウトドアでも使えるお箸ということを考えると、アルミの方がいいのでは?と、こちらから提案させてもらって。

というのは、ステンレスは2.5倍ほどアルミよりも重量があるから。持ち運びや使い勝手を考えたときに軽い方がいいだろうと。

それに価格をみても、お客さまが手に取りやすい価格に収めるには、アルミの方が理にかなっていると思っています。価格と重量を加味した上で、アルミという素材を提案させてもらいました。”

もっとも苦労した点は、箸を収納するギミック部分

時間をかけて試行錯誤を必要としたのが、この箸の最大の特徴である”収納される仕組み”の部分。

TOKYO CRAFTS職器シリーズ箸が折り畳まれた写真

最初にいただいた図面どおりにすんなり製作できる……なんてことはまったくなくて。きれいに収納できておさまりもいい、という形状を求めていくつものパターンを試していた、という長谷川さん。

TOKYO CRAFTS職器シリーズ箸の製造写真

”最終的に、機能美を感じられるプロダクトに仕上がったと思います。モノによっては美しいけど、機能がいまひとつ。機能は優れているが、美しさがいまいちというものも中にはあります。

そんな中、今回の箸は「機能」と「美しさ」を兼ね備えたプロダクトになったと思っています。

一般的なアウトドア用のお箸と比較するとパーツ点数が多く、複雑な構造です。製造にかかる時間は2ヶ月間。

通常お箸の加工にかかる2倍以上の時間と労力を必要としますが、そのぶん作り手の遊び心をふんだんに盛り込んだアイテムに仕上がりました。

TOKYO CRAFTS職器シリーズ箸の先端部分の製造

特に持ち手と先端のパーツの接合部分の工夫や、意匠性を重視した持ち手のローレット加工などはぜひ注目いただきたいところ。

メカ好きやギミック好きな方にはぜひ手にとっていただき、実際のモノを確かめてほしいですね。”(製造工場 長谷川さん)

IN OUTに使えるTOKYO CRAFTSの職器シリーズ 箸

TOKYO CRAFTS職器シリーズ箸とカルパッチョ

ご家庭でもフィールドでも、場所を問わずに使えるのがこの箸の魅力。企画から製造、販売までに1年以上の年月をかけて、作り手の遊び心を詰め込んだプロダクトが誕生した。

いつでもどこでも使いたくなる。知人や友人にもちょっぴり自慢したくなるギミック。そんなキャンパーたちの所有欲を満たしてくれるTOKYO CRAFTSの職器シリーズ 箸をぜひあなたにも手にとっていただきたい。