TOKYO CRAFTSの新作エアーフレームテント「HANARE(ハナレ)」。デザインを手がけた鴨志田 栄汰さんに、HANAREが生まれた理由、軒やパネルの使い方、開発の裏側を聞きました。鴨志田さんは、デザイン系の大学を卒業後、大手アウトドアメーカーで製品開発に5年携わり、フリーランスとして独立。「wholedesign dp」を創業し、アウトドアに限らずライフスタイルを彩るプロダクトの企画・デザイン・設計を行っています。
HANAREが生まれた理由|キャンプ場で、気を使わずに過ごしたい
>> HANARE エアーフレームテントの商品ページはこちら
動画 0:46〜|人の少ないキャンプ場で、自分たちしかいないような時間を
鴨志田 栄汰(HANARE デザイナー)まず、人の少ないところでキャンプをするという体験。人の少ないキャンプ場でゆっくりとした時間を過ごしたいという、本来持っていた欲求を叶えるテントです。作りたかったのは、まるで自分たちしかいないかのような、プライベートな感覚のキャンプの時間でした。
僕がずっと思っていることとして、キャンプブームがひとつの段階としてあったことで、キャンプをする人がたくさん増えました。これはすごくいいことである一方で、ひとつの問題として、人気のキャンプ場や土日のキャンプ場は、すごい人でごった返す場所になってしまった。それによって、マナーを気にしないといけない場所になってしまったりもしています。
もともとは日々の喧騒から離れて、ゆったりとした時間を楽しむ場所だったものが、いつの間にか普段と変わらない日常の一部になってしまった。気を使わなきゃいけない、そういう場所になってしまったというのが、問題としてあると思っています。
本当はせっかくキャンプをしに行っているのに、人に気を使わないといけない。キャンプに行ってまで気を使いたくない、という部分は本音としてあると思っています。なので、隣の人との距離感や視線を、一番いい状態で切り分けられるようなデザインを考えていました。
これを解決して、せっかく土日の忙しい合間をぬって行ったキャンプ場での時間を、自分たちが求める自然を楽しめるような、本来欲しかった時間を取り戻す。それを意識したコンセプトになっています。
一番大事にしたことは、閉じているのに開けている空間をつくるということ。人に気を使わないで自然を楽しむというのは、ただ自分たちの場所を囲めばいいというものでもありません。
あくまでキャンプを楽しむという部分を取り戻すためのプロダクトなので、景色をしっかり楽しめる、でも周囲の人に配慮ができる。そういった空間づくりを一番意識しました。
軒の展開パターン|地面近くまで伸ばした軒と、跳ね上げのアレンジ
>> HANARE エアーフレームテントの商品ページはこちら
動画 2:57〜|軒はファスナーを開けて、跳ね上げたり巻き上げたりできる
――実際に今日はHANAREを前にして、いろいろ解説していただこうと思うんですけど、まず一番の見どころ、ポイントを教えてもらえますか?
ポイントはやっぱり、この軒とパネルの開閉の豊富さですかね。
例えば軒からいくと、最終的なものは、かなり地面近くまで伸ばしているデザインになっています。より落ち着いた印象というか、どしっとした安心感が出るデザインに一役買っている部分があります。
隣に最初のサンプルが張ってあるんですけど、実は一番最初のデザインは、軒がかなり短かったんですね。一番見せたかった機能として欲しかった、壁が開閉するという機能に支障をきたさないために短くなっているんです。干渉しちゃうので。
なんですけど、やっぱりちょっと不格好だったなというところがあって。僕も当初から、形としてきれいに収まるのは、極端な話、軒を地面に這うくらいまで伸ばしてしまうデザインで、それがやっぱり美しいはずだと思っていました。そういったデザインに寄せていく調整をしていきました。
例えば、この軒一面でできることで言ったら、まず真ん中に跳ね上げるのがひとつ。あとは実は軒の両脇にハトメが付いていて、ポールを2本立ち上げることで、囲ったような屋根ができたり。
あとは軒のファスナーですね。各軒の辺にファスナーを付けているので、ファスナーを開けて羽のように跳ね上げることもできますし、巻き上げることもできる、というようなデザインになっています。ファスナーは下から外せるようになっていて、止水ファスナーです。
――これでまた、アレンジができる?
そうですね。例えば、ファスナーを開けた軒を持ち上げたり。ここにポールを刺してロープを落とせば、視界をもっと広げたい時に、正面側をこういうふうにしたり。ハトメにポールを刺したり、そういったアレンジができます。
――だいぶ形が変わりますね。これ、今やったことでいうと、軒のファスナーを開けて……
軒のファスナーを両側開けて、軒の先端のハトメ部分に、ポールを立てました。
――かなり開放的な形になりますね。
そうですね。基本的に、この中で過ごしたりする時は、正面側をこういうふうに開けて使ったり、もしくはファスナーを閉じたまま、軒の角にポールを刺したり、もしくは1本だけ刺して軒を立てたり。
――正面はこうできるし、サイドはさっきの状態で保っておける。
そうですね。4面全部共通なので、極端な話、全部やっちゃってもいいし、軒だけで言っても、かなりバリエーションがあります。
パネルの重要性|お隣さんにも「壁があってうれしい」と思ってほしい
動画 6:29〜|壁は、まわりのサイトに自分たちというノイズを与えないためのもの
――今回のHANAREは、パネルが特徴的な動きをするなと思っていて。まさにサイドの視界を遮るような、どでかいパネルが付いているじゃないですか。あれは鴨志田さんの中で、HANAREの大事なポイントだったりしますか?
大事なポイントですね。これに関しては、自分たちだけが良ければいいというものでもないと思っていて。キャンプというものは、自分たちの場所だけが区切られていれば、それがいいキャンプ体験になるのかというと、そうではないと思っています。
あの壁は、自分たちの空間を区切るのと同時に、お隣のサイトや遠くの人たちのサイトに対しても、自分たちというノイズを与えないための壁、という機能もあるかなと思っています。
パネルの展開パターン|2枚つなげたまま、角度は自由に
動画 7:17〜|パネルの角度は、サイトの形や景色の見え方に合わせて自由に
――実際に、パネルを開閉したりとか?
パターンとしては、この2枚のパネルが右、左、正面に付いているんですけど、2枚つなげたまま片側へ開いたり、もしくは反対側へ開いたり、もしくは真ん中で開けたり。あとは上に跳ね上げることもできます。例えば真ん中だけ開けていくという形で見ると、こんな感じですかね。
――これで片側の目隠しもできるし、両側もいけるし。あとは、この2枚をつなげて動かすこともできる?
そうです。今はテントの角が支点、主軸になっているんですけど、角を主軸に2枚つなげたままだったら、こんな感じになったり。
――ちょうど今、隣に他の人のテントがあるとしたら、パネルの向こう側に入ってもらうと、目隠しができる。
そうですね、まさにそういった形で。これは実は自分たちが囲われるという部分が大きいんですが、僕の思いとしては、お隣さんも、壁があってうれしいと思ってくれたらいいなと思っていて。
――やんわり境界線をつくるみたいな?
そうですね。いろんな価値観を持った人が集まるのがキャンプ場なので。モラル、マナー、いろんな価値観がある中で共存する場所だから、こういったテントがひとつでもあれば、お互いが気持ちよくキャンプができる環境をつくっていけるのかなと思っています。
テントとパネルをつなぐファスナーを外して、2枚のパネルを真ん中だけつなげた状態にすると、パネルを外側へ長く伸ばすこともできます。わかりやすいのは垂直に立てることなんですが、角度が自由なので、本当にサイトの形や景色の見え方によって、斜めにしてもいいし、もっと外側まで広げてもいい。
あとは、ポールが増える話にはなりますけど、パネルは真ん中で折れるので、折って角をつくってもいいかもしれないし、また違う角度にしてもいいかもしれない。
――パネルの外側にも、空間がつくれるんですね。
そうですね。なので、外側の空間をどうつくっていくかというのが、HANAREの開発デザインをしていたところでのポイントでもあるし、お客様に使ってもらう時に、一番楽しい部分になるかなと思います。
ズボラにやりたければ、本当にポール1本あれば、どこかしらを開いたり跳ね上げたりということができます。ついついこういうテントって、ポールが多くて大変そうと思いがちなんですが、テント自体はポールがなくても立つし、ペグの本数も少ない。
そこに加えて拡張するんだったら、別にポール1本、2本ぐらいあればできるので、普通のファミリーテント、フレーム式のファミリーテントなどを跳ね上げするのと同じ感覚で、縦横無尽に動かすことができます。
パネルは2枚重ねられる|メッシュ・TPUと組み合わせて
>> HANARE TPUウィンドウの商品ページはこちら
>> ウィングフォートの商品ページはこちら
動画 10:23〜|ファスナーに2本のレール。パネルを2枚まで重ねて付けられる
今ちなみに、メッシュのパネルも付けてある状態です。ファスナーには、パネル1枚につき2つのレールが付いているんですね。なので、パネルを2枚まで同時に、重ねて付けることができます。
そうすることで、一番外のパネルを開いた状態でも、中のパネルがあるから、そのまま就寝できたり、プライバシーを守るようなことができたり。
あとはTPUと組み合わせると、冬場なんかは、しっかりプライバシーというか、パーソナルなスペースを守りながらも、お籠りしながら景観を楽しめたり。そういったことができるように、パネルを2枚つなげています。
さっき話したように、外側がクローズのパネルで、内側にメッシュやTPUのパネルが付けられるんですけど、今はこの面の内側がメッシュになっていて、メッシュはこんな感じで開けることができます。
――これ開くと、だいぶ違いますね。
そうですね。メッシュは巻いてまとめることもできるんですけど、それこそウィングフォートとかも同じ構造だと思うんですが、少しだけファスナーを上げておいて、内側に入れておくみたいな、簡単なしまい方もできます。
――こっちの軒は今下げているから、目隠しになっていますね。
そうですね。雨が今降っていますけど、雨も入ってこないですし。
――正面は跳ね上げてるから……
そうですね。なので、しっかり視界が確保される部分と、視界を閉じながらも外を感じられる場所というのが、切り替えられるデザインになっています。
課題を解決するためのエアーフレーム|壁を垂直に立てられる構造
動画 12:16〜|パーソナルな空間をつくるために、エアーフレームを選んだ
韓国の市場は、エアーテントが日本より先に普及し始めた市場なので、まずその展示会を視察したんですけど、その時に見たエアーテントは、基本的には今までのフレームテントをエアー化させたようなデザインというパターンか、もしくはロッジ型と言われるような、家を模したような形のデザイン。この2つが主にありました。
それらを見た時に、TOKYO CRAFTSさんが求めるエアーテントの形は、家っぽいとかテントっぽいということではなくて、パーソナルな空間をつくるためのデザイン、形が必要だと。その形をつくるというのが、まず最初にありました。そうなった時に、どんな構造がいいのかというところで、エアーフレームという選択肢が出てきました。
――生地とか、天井の高さとか、壁のスタイルというのは、最初から一貫して決まっていたことですか?
もちろん企画というのはゼロから始まるので、そういった視察を通したり、今の市場を見た上で、どういうものがいいかというところから始まるんですけど。
特にここ最近、ちょっと前までの日本のキャンプ場の雰囲気とかで、僕が思っていた課題というのが、お隣のキャンパーさんがすごくうるさいとか、そういったマナー、モラルというところで、僕としてもすごく頭にあったので。
そうした時に、エアーフレームテントならば、壁を垂直に立てたデザインができる。そういった今の形に適切なのが、エアーフレームテントなんじゃないかというところで、そこを基礎に開発を進めていきました。
>> エアーテント(エアーフレームテント)一覧
空間効率と配色|高い天井と、明るめのグレー
動画 14:04〜|エアーフレームだからこそ、天井を高くとれる
――成人男性が入ってもなお、普通に立てるというのが……
そうですね、もう全然広いと思います。今はインナールーフシートを付けているので、若干天井は下がっているんですが、ちょっと映像でわかるかわからないですけど、かなり日を遮って、影が濃い状態になっています。
もう少し広くしたいとか、もしくは秋とか、一番いい季節になったら、インナールーフを外してやると、もっと天井が高くなります。プラス10センチ、15センチぐらい上がります。
通常のフレームテントでも、天井が高いものはある程度あると思うんですが、エアーフレームテントだからこそ、空間の広さはフレーム構造に比べて大きく取れるというメリットがあるので、極力天井を高くすることで、空間の開放感を高めたいなと思って、天井は高くしています。
この配色にした経緯としては、企画の最初の段階で、パーソナルな空間をつくれるテントを目指すことが決まっていたんですが、パーソナルな空間をつくる、イコール壁を立てて、視線を囲むようなデザインを最初考えていたんですけど。
そうすると、壁が迫ってきて、圧迫感というか、そういったことを感じなくもないデザインになってきていたので、明るめのグレーを採用することで、光を適度に取り込む。閉じられているんだけど明るい空間というのを目指すために、この明るめのグレーを採用しました。
>> 大型エアーテント一覧
光をコントロールするインナールーフ|影の落ち方が変わる
>> HANARE インナールーフ 遮光プラスの商品ページはこちら
動画 15:45〜|インナールーフは片面に遮光PU。付け外しも簡単
※インナールーフ(遮光プラス)とTPUウィンドウは、HANARE本体には付いていない専用オプション(別売り)です。
中のインナールーフは、吊り下げるような形になっています。片面に遮光PUをかけているので、これがあるなしでは、影の落ち方が全然変わってきます。
加えてデザイン的なところで言うと、エアーフレームテントは結構フレームが太くなりがちなので、皆さんが思い浮かべるようなエアーテントって、ごっつい梁が通っているような印象が多いと思うんですが……
HANAREの場合は、このインナールーフを付けることによって、その部分が結構隠れるので、エアーテント感をすごく感じづらいというか、そういったノイズを感じづらい空間設計、デザインになっています。
――インナールーフって、すぐ外せるものですか?
はい、これは簡単です。基本的には、ループ、輪っかの部分とフックの部分でつながっているので、フックを外してもらって。頂点の部分は4か所で止めているだけなので、あとは中間の部分が1つ、という形で、それぞれやっていただければすぐに外せます。
――だいぶ明るくなりますね。確かに先ほどおっしゃっていたように、明るさが全然違いますね。
そうですね、全然違いますね。僕が身長177センチなので、それで腕を伸ばしてちょうどぐらい。一番高い部分が届かない方は、台を使ってもらうか、もしくはもう付けることが決まっているならば、設営の途中ですね。空気を入れて、少し天井が持ち上がり始めたぐらいの時に付けちゃうのが、一番スムーズかなと思います。
いろんな理由があって最終的なデザインに落ち着いているんですが、それこそ最初のサンプルでは、外側にTC素材のアウタールーフを付けることで、遮光性などを高めたデザインでした。最終的なものは、内側にポリエステルの遮光PUをかけた生地を使ったもので、遮光性を担保するという形に変更しています。
実際、TC素材を使ったものと、内側に遮光PUをかけたインナールーフを使うことでの比較をすると、全然変わらない。むしろインナールーフの方がいいかもしれないというぐらい、しっかりと遮光が保たれているので、それであれば、なるべく簡単に取り付けられる最小限のデザインで遮光を担保する、このパターンに変更しました。
作りたいものとコストのバランス|TOKYO CRAFTSからのリクエスト
動画 18:27〜|多くの人に使ってもらえる価格と、長く使える品質
――実際に開発するにあたって、TOKYO CRAFTSからどんなリクエストがありましたか? また、それを最初に聞いた時、どう思いました?
まず一番最初に言われたことは、これはすごくいいことで、エアーフレームテントをつくるにあたって、TOKYO CRAFTSにしかできないものをつくりたい、ちゃんとお客様に喜んでもらえるような新しいものをつくりたい、という大きな要望がありました。
その中で、いくつかアイデアを出していく中で、議論しながら企画が進んでいくんですが、その途中途中で、いろんな要望も出てきていて。
まずはコストですね。なるべく多くの人に使ってもらって、キャンプを体験してもらいたいというコンセプトの中では、例えば40、50万円するテントになってしまうと、使える人が限られてしまう。ある程度のラインに、コストは抑えたいというような要望がありました。
それに加えて、あとは品質面ですね。いくらかっこいいデザインだったり、いくら便利なデザインだったとしても、それが例えば極端な話、1日で倒壊してしまうとか、そういったような品質というのは、TOKYO CRAFTSの商品ではない。
しっかり長く使ってもらえる、かつ、なるべく多くの人に使ってもらえるデザイン、価格、品質というところは、常に議論の軸にありました。
――鴨志田さんの中で、これ結構難しいなとか、これどうやって突破するかなみたいな、難しいって思ったリクエストでいくと、何がありました?
一番すぐ思い出せるのは、やっぱりデザインの部分で。ファーストサンプル、セカンドサンプルくらいまでの軒の形と、最終的な軒のデザインって全然違っていて、最初のデザインよりも、最終的なものは軒がすごく長くなっているんですよね。
この最終的な軒が伸びたデザインがすごく好きだし、最初の段階でもなるべく長くしていきたいと思っていたんですが、先ほどあったようないろんな要望だったり、壁を立てるという機能的な部分を考えた時に、バランスを取ったデザインというのが、最初のデザインになっていたんですね。
ただ、やっぱりちょっとあんまり好きじゃないねという話にお互いなって、軒を伸ばしてみようかという話になったんですが、その部分が一番、作りたい形、デザインと、それによって結果出てくるコストや使い勝手というところの、せめぎ合いはすごく苦労したところです。
――あと、このサイズとか重さ。ここも苦労したのかなとは思うんですけど、いかがですか?
壁を立てるとか、サイトの中で自分だけのパーソナルな空間をつくるというテントを考えた時には、どうしても大きくなってしまいがち、というのがまず最初にあって。
ただ、そういった開発をしていく中での要望として、区画サイトに収めたいということが出てきて。それを言われた時に、僕もそうだよなというふうに思って、8m×8mの区画に収まるように、軒の長さの調整などをしていきました。
改良を重ね続けた末の発見|後ろの面をなくして、荷物の置き場に
>> コードユニットの商品ページはこちら
動画 21:47〜|後ろの面をなくしたことで、生活感の出る荷物をまとめられる
4回、5回とサンプルを重ねていく中で、コストであったり、デザイン性であったり、快適性であったり、そういった部分でデザインがどんどん変わっていくんですが、実は結構大きい変更というのが、この後ろの面になっていて。
実は最初の頃や初期のデザインスケッチなどは、全面開放できる形だったんですね。4面に可変ができるパネルが全部付いているという形だったんですけれども、実際よくよく考えてみれば、全部開放することってなかなかないし、実際やれても大変。かつパーツも増えるので、コストも上がるというところで、後ろの面はもう潰しちゃったんです。
その代わり、これになったことで逆にいいのは、荷物など、キャンプに必要な生活感が出そうなものを後ろ側にまとめることができるので、この3面があることで、十分な視界性や拡張性を楽しみながらも、しっかり荷物を置ける場所が、実はしっかりつくられたというのがあります。
それこそコードユニットとか、多分8個ぐらいちょうど横に並ぶんですけど、それが後ろの面に一面にあったら、かっこいいかなというのも思っています。
脱着式のフロア|お座敷スタイルも、椅子のスタイルも
動画 23:08〜|フロアシートはマジックテープで脱着できる
――ちなみに、このフロアというのは外れるんですか?
脱着式になっていますので、こういった形で、マジックテープになっています。脱着ができるんですけれども、フロアのマチの部分を結構大きくしているので、シートを付けた時には結構かぶるんですね。なので雨の日とか、水たまりとか、よっぽどじゃない限りは、この状態で水が入ってこないように使うことができます。
フロアシートがある状態で、お籠りであったり、お座敷スタイルみたいなスタイルを楽しむこともできますし、フロアをもう常時なくしちゃって、一般的な椅子を使ったスタイルにして、少しでも重量を軽くしたりとか。そういった使い分けも可能になっています。
――最初って、フロアは外せなかったじゃないですか。それを改良していく中で、外そうってなったきっかけというか、どんなものがあったんですか?
TOKYO CRAFTSさんとレビューを重ねていく中で、フロアありのキャンプスタイルも魅力的だし、このデザインには合っているんだけど、フロアがないスタイル、椅子を使うようなスタイルというのも、選択肢としてやっぱり入れられたほうが、お客様の選択肢が広がるよね、というところで、外せるように変えました。
基本的にはマジックテープで付いているので、剥がしていくような形になります。フロアがない状態でもしっかり設営ができるように、ビルディングテープはちゃんと付いているので、お座敷スタイルとかは全然しないという人であれば、そもそもフロアを取った状態で収納したり、持ち運んでいただければいいかなと思います。
試行錯誤を重ねた耐風性能・耐水性能|試験の結果を形に
動画 25:15〜|耐風試験を重ねた結果、ロープ用の力布を追加
まず耐風性に関して言えば、エアーフレームってメリットでもありデメリットでもあるのが、フレームが柔軟に動くという部分。だからこそ、多くあるデザインのパターンで言えば、梁が多かったりとか、そういったデザインが多いなと思っていて。
HANAREに関しては、最初から僕はクロスフレームの形、2本のフレームがクロスするような形で考えていました。これは風を逆に受け流せるのかなというもくろみがあったり、あとフレームが少ないことによって空気を入れる量が減るので、設営のしやすさにもつながるというところで、バランスを取って最初からクロスフレームにしています。
最後のサンプルのほうで追加しているのが、この力布(りきふ)になっていて。これは耐風試験を重ねた結果、ここに必要だなというところで追加した、予備の補強、ロープ用の力布になります。
耐風試験をした時に、やっぱり力布を付けた部分はフレームがないので、少し内側に押されがちというところで、突風だったりとか、突然の風にも耐えられるように。こういった部分だったりとか、ほかのところもそうなんですけど、ロープを後から足していける場所というのは、補助的に結構増やしています。
散水試験は、サンプルが上がるごとに毎回行っていて、その試験の結果を受けて、より安心して使ってもらえるようにするために、縫製で使用する糸の素材であったり、シームテープの処理の工夫というのをしっかり施すことで、より安心して使ってもらえるように改善していきました。
細かいところでいくと、パネルの継ぎ目の上の部分、それぞれに、穴を塞ぐフラップのようなものを付けています。これがない状態だと、実はちょっとだけ隙間があるんですね。なので軒を使っていれば、それこそ問題ないんですが、風が強い時などは雨も入ってくる可能性があるので、こういった形で継ぎ目を塞ぐ処理をしています。
――快適性というところは、もう徹底されているんですね。
そうですね。かなりシビアに、そこは見たかなと思います。
>> 風に強いエアーテント一覧
生産現場で大切にしていること|パーツはできるだけシンプルに
動画 27:39〜|工場で実物を見ながら、ものの意図を伝える
ものをつくっていくステップとして、仕様書を書いて、デザインを考えて、設計して、それを工場に指示してサンプルをつくるという、このサイクルと評価を繰り返していくんですが……
中国に行くというタイミングでは、実際にものを見て、工場の人とコミュニケーションを取りながら、これはダメだ、これはいいというのを、このものの意図を伝える、ということをしに行っていました。
――あの場で、自分的に譲れなかったことは何ですか?
譲れなかったことというのは、ずっと何においても変わらないことで、そのもので届けたい価値を体現するために、どんな機能が必要で、どんなパーツ、設計が必要なのかということを、しっかり伝えることだと思っていて。
今回に関して言えば、より長くものを使ってもらうために、僕はものをシンプルにしていきたいと思っていて。それは価格であったり、組み立てやすさであったり、いろんな面でそこに価値が出る部分なので、しっかりと意図を伝えて、ここのパーツは必要ないんじゃないかとか、ここは共通にできないのかとか、そういう話をしていました。
――最終的に、これ完成したな、お客さんに届けられるなって思えた時って、どういう基準というか、どういう瞬間ですか?
デザイナーの感覚としては、使ってもらった人の声とか、そういうのが長く届いた時に、僕は完成したって思うので、僕としては、まだ完成はしていないって思っちゃうんですけど。
ものとして届けるタイミング、完成したというところに関して言えば、まず届けたい価値というものがちゃんと表現できているかという部分と、それを実際に使ってもらった時に、長く使ってもらうという意味で、品質であったり、パーツの構成であったり、そういった安全面というところもしっかり担保できた時に、届けられるという判断をしています。
体験してほしいこと|閉じた空間なのに、開放的に景色を眺める
動画 29:42〜|家にいるような安心感の中で、キャンプの時間を
それはもう一番に、周囲の視線などが気にならない、閉じた空間なのにすごく開放的で、美しい景色が眺められる体験というところが、一番感じてもらいたいところです。
おそらくこの空間に入った時には、本当に家にいるかのような、安心する感覚というのを感じてもらえると思うので、いつものキャンプよりも、よりくだけた心でいられるというか。家族とのコミュニケーションであったり、そういったキャンプを通して得られる価値というのが、より濃度高く感じてもらえるんじゃないかなと思います。
自分たちが好きな景色とか、自分たちが思い描くスタイルという部分を、パネルを開いたりとか、いろんな可変の試行錯誤を通して、一番ベストだと思えるスタイルを見つけてほしいなと思っていて。
そのベストだと思えるスタイルを見つけられた時に、今よりももっと、キャンプをするという時間が、より大切に感じられるんじゃないかなと思います。
>> ファミリーキャンプにおすすめのエアーテント一覧