2025.06.17
ペグの種類と選び方は?キャンプで必要なペグを素材・形状・地面・天候別に解説
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テントやタープを安定させるためには、“ペグの性能”や“最適な種類選び”が重要です。打ち込む地面の硬さや、設営時の風速など状況に合わないペグを選ぶと、「真夜中の倒壊」を招いたり「固くて刺さらない」といったトラブルが起こったりして、キャンプを楽しむどころではなくなります。
ペグに関する情報はいろいろありますが、素材や形状の特徴を列挙するだけのものが多く、気象条件やユーザー層による優先順位、メンテナンスやサステナビリティといった現場感覚の情報が欠けているようです。
そこで、本記事ではスチールやチタンといった基本なペグの素材の違い、ペグの断面形状による違い、風速や降雨量ごとに推奨される長さと本数、曲がり修正や錆び対策など、知っておきたい“ペグについてのあれこれ”をご紹介します。
基本的な知識を仕入れれば、自分のテントやタープに合う製品を、迷わずに選べるようになるのがメリット。さらに、設営時間短縮と、安全確保の両方も得られるでしょう。
素材と形状が決めるペグの種類:基礎性能
素材の種類と特徴
ペグは、一般的に、スチール・鍛造スチール・チタン・アルミ・カーボン・プラスチックなどの素材で作られ、それぞれ特徴が異なります。違いを把握しておきましょう。
● スチールのペグ
スチールのペグは、リーズナブルで“曲げ”に対して強度が強いのが特徴です。けれども、その分、重量があり錆びやすいのがデメリットです。鍛造スチールは、内部組織が密になるため曲げに強く、硬い地面でも食い込みやすい反面、磨耗した際に錆が広がりやすいので、黒染めコーティングの製品がいいでしょう。
● チタンのペグ
チタンは比重が小さく荷物を軽量化できますが、金属硬度が高すぎて曲げ戻しが難しいため、“曲がる前に交換する”という前提で使うのが合理的です。超軽量なので、できるだけ荷物の重量を軽くしたい、UL(ウルトラライト)志向のキャンパー向きでしょう。
●アルミのペグ
アルミは軽量なうえにリーズナブルなのが魅力です。ただし、“硬質アルマイト処理”が甘い製品は、曲がりが戻らないため気を付けてください。地面が柔らかい芝生や砂浜に用途を絞るほうがおすすめです。
●カーボンのペグ
カーボンは超軽量ですが、横方向の衝撃に弱いのがデメリットです。補強アルミ芯が入ったモデルなら、実用に適しています。
●プラスチックのペグ
プラスチックは積雪期のスノープラグとして優秀です。雪や砂に埋設した際の保持力が高く、撤収時にも抜けやすいという独特の利点があります。
形状とその特徴
ペグの断面形状は、“保持力”に影響します。選ぶ際には、素材とともに形状もチェックしてください。
●ピンペグ
“丸みのある棒状のペグ”です。細長く先端が鋭利になっているため、地面に刺さりやすく貫通力が高いので、打ち込みがしやすいのがメリットです。まっすぐ刺さるので、芝生のような地面と相性のいいペグです。
けれども、抜けやすいため、風の強い日には向いていません。硬い地面での“仮止め用”に使ったり、風の抵抗を受けにくい、テントの下に敷くグランドシートのペグダウンに向いています。
●U字とV字のペグ
上下方向の応力を広い面で受け止め、砂や腐葉土のように崩れやすい地盤で威力を発揮します。砂浜など、砂が多いサイトで利用しましょう。また、U字とV字のペグはスタッキングしやすく、コンパクトにまとめられるのもメリットです。
●Y字とX字のペグ
3本または4本のリブが地面をつかむため、風速が高い河原の砕石地や積雪期の凍土でも引き抜き抵抗が下がりにくい設計です。土が多いサイトに向いています。
●スクリューペグ
ねじ込むことで土を圧縮しながら絡め取るため、積雪や砂浜での保持力は他の形状のペグよりも優れています。
●スノープラグ
幅広の板に穴が開いた形状で、雪と一体化させて「デッドマンアンカー」として機能する特殊なタイプです。
最適なペグの種類は地質と気象条件で変わる
同じペグでも、長さや本数が適切でなければ抜けるリスクが増します。
例えば、芝生で風速が10mという状況の場合、幕面積5㎡の小型テントならスチールまたは鍛造スチールの20cmが8本もあれば十分です。
けれども、面積が15平方メートルを超える大型シェルターの場合は、28cmを16本に増やして、安全率を確保したほうがいいでしょう。
また、雨量が30㎜を超える環境では、地面が緩み保持力が最大で30%は低下するため、ペグの長さをひと回り長くするか、本数を1.3倍に増やすようにしてください。
積雪深が20cm以上になる雪中キャンプでは、スクリューペグの40cm以上が基本となり、吹き溜まりで雪が締まっている場合は、スノープラグを水平に埋設し周囲を踏み固めると引き抜き強度が急上昇します。
このように、環境や季節、天候、地面の状態などによって、最適なペグの種類や形状、長さ、本数は変わると思ってください。ペグ打ちをして設営の効率を上げるのはもちろん、安全面も考えて選ぶことが重要です。
キャンプ内容により最適なペグの種類が異なる
ペグを選ぶときは、ソロキャンプなのかグループキャンプなのか、キャンプスタイルを考慮することも大切です。
●ソロキャンパーやUL志向のハイカー
できるだけ荷物を軽量化したいキャンプスタイル。「軽量のチタンピンペグ16gを3本と、カーボンコアVペグ12gを3本」というように、重量と保持力の比率を考えながら組み合わせると効果的です。
荷重の大きいメインのガイライン(外ロープ・張り綱)にのみ高強度ペグを割り当て、補助ロープは軽量ペグで済ませれば、総重量を150g程度に抑えつつ安全性を確保できます。
●人数の多いグループキャンプ
ファミリーやグループで大型シェルターを張る場合は、そのサイズや構造にもよりますが、「長いペグ約14本くらい、短いペグ12本くらい」ともいわれています。
“面積と風速を入力すると必要本数を自動計算するウェブシミュレーター”を利用するのもいいでしょう。
子ども連れの場合は、子どもが撤収を手伝えるように、ペグヘッドを安全フック付きにすると、万が一の指を挟む事故を防げます。
●冬季のキャンプ
冬季雪中ではスクリューペグとスノープラグを併用し、凍結後の引き抜きトルクを減らすためにリンクコードを埋設時に通しておくと撤収が格段に楽になります。
●バイクでのツーリングキャンプ
バイクツーリングでは積載長が30cmを超えると収納が難しいため、ジュラルミン合金で貫通力を高めた25cm鍛造ペグを選びましょう。
出発前に、マフラー熱で乾燥させる簡易メンテナンスを済ませておくと錆びの進行を防げます。
ペグの種類と共に覚えたい!打設と抜きの実践テクニック
ペグは、理論上“45度で打ち込む”と引き抜き抵抗が最大化しますが、実際には地面の硬さや石の有無など、状況によっても変わります。
硬い礫地では30度まで角度を寝かせると打ち込み抵抗が減り、ペグが曲がるリスクを抑えられます。
ハンマーを振り下ろす際は、肩ではなく肘を支点にし、手首を固定して衝撃を一点に集中させるとまっすぐ入ります。
凍土や粘土で抜けない場合は、まず温水をペグ周辺に少量注ぎ地面を緩ませてから、石突きやスリングをテコにしてゆっくりと引き上げると曲げずに外せるでしょう。急いでいるときに無理にねじると、金属疲労で再利用不能になるので注意してください。
さまざまな種類のペグをメンテナンスで寿命を延ばそう
錆びないように手入れが必要
錆びは金属ペグの大敵です。使用後に泥を洗い流し、乾燥させたあとに防錆油を薄く塗るだけで酸化するスピードは半分以下になります。
既に茶色い錆び斑点が出た場合はクエン酸液に30分浸し、重曹水で中和してから耐熱黒染めスプレーを吹くと新品同様に戻ります。
曲がった場合の対処
曲がったペグは万力とスチールパイプで曲げ戻しができますが、一度曲がった部分は靭性が低下しているため、応急処置として位置をサブガイライン用に回すと安全です。
ペグの収納ケース選びも大切
収納ケースは湿度変化を抑えるハードケースか、軽さを優先したロールバッグが選べますが、いずれの場合も乾燥剤を入れ、ケース内部湿度を40%以下に保つと錆びとカビを同時に防げます。
ペグを入れたまま丸洗いできるメッシュバッグなら、水切りもでき、運んでいる間に風にも当てられるので乾燥も早くなって便利です。
夜間視認と紛失防止でどんな種類のペグもストレスフリーな撤収を
夕方以降のサイトは、足元が暗くなるのでペグに足を引っ掛けて転ぶ事故が増えます。反射コードを張り綱に通し、蓄光キャップをペグヘッドに被せるとライトを当てた瞬間に位置が分かります。
撤収時に紛失が心配なら、スマートタグをキーホルダー形状でペグ袋に取り付け、アプリで最後に記録した位置を確認できるようにすると探す手間が省けます。
特に砂地や雪面では1本でも抜き忘れると次の利用者に危険を及ぼすため、視認性アップと紛失防止はセットで考えるべきです。
種類別!ペグのサステナビリティな処分
再生アルミペグは、バージン材使用量を40%削減できるため、カーボンフットプリント(※)が小さくなります。
バイオプラスチック製ペグは、土中で分解するタイプと高熱焼却専用タイプがあり、自治体の回収区分に合わせて処分しないと環境負荷が逆に上がることもあるので注意が必要です。
役目を終えたスチールペグは、不燃金属ゴミとして資源回収日に出せばリサイクルルートに乗ります。アルミやチタンは資源ゴミ扱いの自治体が多いので、仕分けルールを確認してCO₂排出を最小化しましょう。
※カーボンフットプリント:製品やサービスの原材料調達から使用、廃棄、リサイクルに至るまでの過程を通して排出される温室効果ガス排出量を、温室効果をもとにCO2排出量に換算した数値を指します。
ペグの種類に関するよくあるトラブルとQ&A
Q:ペグが曲がりやすい地面はどこですか?
A:粘土質で石が混ざったサイトが最も危険です。最初に細いドライバーで試し穴を開けることで曲がりを防げます。
Q:ペグが錆び付いてケースに貼り付くのですが?
A:水分を含んだ泥が原因なので、現地で拭き取る布とビニール袋を常備し、帰宅後に必ず洗浄と乾燥を行えば防げます。
Q:風速が上がったときに本数を追加する目安は?
A:使用ペグ総数の20%を追い打ちするイメージで補強すれば、安全係数が3割向上します。
TOKYO CRAFTの「エアドライ ペグケース」はさまざまな種類のペグを収納できる専用ケース
エアドライ ペグケースは泥が付いた使用後のペグを洗ったら、いちいち拭く必要もなく、そのまま入れて乾燥できるメッシュ素材のペグケースです。
通気性が良いため錆びの発生を抑制できます。メッシュのためケースの中身が判別しやすいので、ペグなどのギアや小物入れとして重宝するでしょう。
ケースの底は二重になっていて、底にタオルや雑巾を敷けば、ペグを洗った後の水の滴りを防止でき、移動中に乾燥させられます。防水生地を採用しているため、ペグケース自体は防水生地を採用しているので、そのまままるごと洗えるので、お手入れも簡単です。
エアドライ ペグケースの口コミ
持ち運びのしやすさ、お手入れのしやすさに感動しました。デザインもかっこよく、使いやすいの一言です。
汚れたペグをそのまま入れても、ケースごと洗えてメッシュのおかげで乾かしやすい。
チタンペグの30cmを24本、24cmを12本、ペグハンマーを入れても余裕です。ペグを洗ってそのまま収納できるので、撤収時の時短になりました。
環境・用途に合わせたペグの種類選びで、快適かつ安全なキャンプを
キャンプにおける快適さと安全性を左右するペグ選びは、素材・形状・長さ・本数、さらには気象や地質、スタイルまでを総合的に考慮する必要があります。どのペグも万能ではなく、「どこで・誰が・どんな使い方をするか」によって最適解が変わります。
本記事では、実践的な視点から各種ペグの性能や使い方、メンテナンス、さらにはサステナブルな処分方法まで詳しく解説しました。正しい知識を持って選び・使い・管理すれば、設営効率も高まり、トラブルのない快適なアウトドアライフを楽しめます。
あなたのスタイルに合った一本を見つけ、次のキャンプをより安心・スマートな体験にしていきましょう。
また、以下動画ではペグハンマーについて解説しています。本記事と合わせてぜひ参考にしてみてください。