GEAR BUNKER開発者たちの物語

積み重ねたまま、取り出せる。

GEAR BUNKER 開発者たちの物語

“引き出し”という発想から生まれた、新しいギアコンテナ

GEAR BUNKER 開発者たちの物語

「積み重ねたままでも、必要な道具にすぐアクセスできるコンテナ」という発想から生まれた ギアバンカー。

 
キャンプでは、多くのギアを持ち運び、車に積み込み、サイトへ運びます。 実際には、必要な道具ほど下に入ってしまったり、あとから収納したい物が出てきたりと、思い通りにいかない場面も少なくありません。

 
コンテナを重ねれば積載効率は上がるものの、下段の荷物を取り出すには上のコンテナをどかさなければならない。 撤収時にはギアが散らかり、最後に「これも入れ忘れてた」と気付くことも。 そうした不便さを感じる中で生まれたのが、「引き出し」のようなコンテナという発想。

 
″家具の引き出しのように、積み重ねた状態でも必要な物へアクセスできる。 ″
″あとから収納したい物が出てきても、すぐにしまえる。 ″


ギアバンカーは、そんな体験を目指して開発をスタートしました。

引き出しのように使えるコンテナを作りたかった

ギアバンカーの開発は、「引き出しのように使えるコンテナを作れないか」という発想から始まりました。

キャンプではコンテナを積み重ねて使うことが多くあります。しかし必要なギアを取り出すたびに上の荷物をどかさなければならず、「あとからこれを入れたい」「あのギアを取り出したい」と思っても手間がかかります。

開発チームが目指したのは、家具の引き出しのように、積み重ねたままでも道具へアクセスできる体験でした。

その視点から既存のコンテナを見直すと、ハードコンテナにもソフトコンテナにも解決できていない課題があることに気付きました。

ハードコンテナは頑丈で重ねやすい反面、重量があり、輸送中にギアを傷つけてしまうことがあります。

一方でソフトコンテナは軽量で扱いやすいものの、積み重ねることが難しく、スタッキング時の安定性には課題があります。

既存のコンテナには、それぞれ明確な長所と短所がありました。

そしてどちらにも共通していたのが、「重ねた状態では中身へアクセスしづらい」という問題です。

私たちは、この問題をコンテナというジャンルの中で考えるのではなく、「キャンプ中の道具管理体験」という視点から考え直しました。

重要なのは収納することではなく、必要な時にすぐ取り出せること。

使い終わったらすぐ戻せること。

大切なギアを安心して保管できること。

その体験を成立させるために、ハードとソフトという分類そのものを取り払い、それぞれの長所を掛け合わせることを考えました。

そうしてたどり着いたのが、外側はハード、内側はソフトというハイブリッド構造です。

“完成されたソロテント”への敬意から始まった開発

開発当初、開発者の念頭にあったのは、世界中で高く支持される自立式ドームテントの存在でした。軽量性や耐候性に優れ、過酷な環境にも耐えうる堅牢さと、無駄を削ぎ落とした美しいフォルムを備えたテントは、多くのキャンパーにとって憧れであり、“完成されたソロテント”とも言える存在です。

実際に開発者自身も長年そうしたテントを使い込み、その完成度の高さに強く魅了されてきました。

その素晴らしいテントは、「登山のDNA」を色濃く受け継いでいます。山岳での耐風性を最優先したタイトな居住空間や、極限まで機能を削ぎ落としたストイックな仕様。そして、手に入れることすら容易ではない希少性と、決して手頃とは言えない価格。

「ならば、その堅牢で美しい構造をベースに、日本の『キャンプシーン』に最適化した、TOKYO CRAFTSならではのソロテントを再定義できないか」

徒歩で荷物を背負う前提ではなく、車移動が中心のキャンプだからこそ、極限の軽量化だけでなく、滞在時の快適性や居住性にもっとリソースを割いてもいいのではないか。

自然の中で“生き延びるため”ではなく、“心地よく過ごすため”のドームテントへ。

その思想から、ナイトローバーの設計は動き出しました。

“引き出し”を成立させるための構造

「積み重ねたまま出し入れできる」という体験を実現するために、最も重要だったのがフレーム構造です。

開発初期から『引き出しのように動くコンテナ』を実現したいという考えはありましたが、それを成立させる構造は簡単には見つかりませんでした。


(図:初期スケッチ)

 

一般的なコンテナは、上に荷物を積むとフタが開けられなくなります。キャンプでは複数のコンテナを重ねて使用することも多く、そのたびに上の荷物をどかす手間が発生します。

この課題を解決するために採用したのが、外周を囲むロの字型のアルミフレームです。

しかし、この形にたどり着くまでにはフレーム形状だけでも25案以上を検討しました。

単純に強度を高めるだけなら方法はいくつもあります。しかし、それでは重量が増えてしまう。軽量化を優先すると、今度はスタッキング性能や安定性が損なわれてしまいます。

強度、重量、持ちやすさ、積み重ねやすさ。それぞれのバランスを検証しながら試作を重ねた結果、現在のロの字型フレームへたどり着きました。

このフレームはスタッキング時には荷重を分散し、コンテナ同士を安定して積み重ねられる構造であると同時に、持ち運ぶ際にはハンドルの役割も果たします。

さらに、重ねた状態でコンテナを引き出す際にはレールのようにも機能します。

積むための構造。
持つための構造。
引き出すための構造。

本来であれば別々のパーツで成立する機能を、一つのフレームへ統合しました。

見た目の美しさはもちろんですが、「合理的な形を追求した結果として美しくなった」というのが、このフレームの特徴です。

(図:初期スケッチ)

 

複数の役割をひとつにまとめたステンレスフレーム

アルミフレームと並び、開発で大きな役割を果たしたのがステンレスフレームでした。

上部のステンレスパーツは、スタッキング時のロック機構でありながら、TOKYOCRAFTSの人気商品でもある「コードユニット」との互換性も持たせています。さらに持ち手としても機能し、重ねたギアバンカーを引き出しやすくするガイドの役割も担っています。

実は初期案では、スタッキング機構とコードユニットとの互換機構は別パーツとして設計されていました。

しかし、機能ごとにパーツを追加していくと部品点数が増え、重量もコストも上がってしまいます。開発を進めるほど、「やりたいことは増えるのに、製品としては成立しにくくなる」という壁にぶつかりました。

そこで「ひとつのパーツで複数の役割」という発想転換をします。

試作を重ねながら形状を見直し、機能を整理していった結果、現在のステンレスフレームへとたどり着きました。

重ねる。
固定する。
握る。
引き出す。
そしてコードユニットと連結する。

本来であれば複数のパーツが必要だった機能を、ひとつの造形へ集約しています。

さらに、このステンレスにはあえて磁性のある素材を採用しました。軽量化のためステンレスの使用は必要最小限に抑えながらも、マグリンクティッシュケースなど他のギアとの互換性も確保しています。

機能を増やすたびにパーツを増やすのではなく、一つのパーツに役割を掛け合わせていく。その考え方を最も象徴しているのが、このステンレスフレームです。

(写真:アルミフレームでトライアンドエラーの繰り返し)

 

インスピレーションは「カメラバッグ」ギアを守るための“収納部”

ギアバンカーの開発では、「積める」「引き出せる」だけでなく、収納したギアをしっかり守れることも重要なテーマでした。

ランタンやバーナー、ナイフなど、安心して大切な道具を持ち運べる収納にしたいと考えていました。そこで開発チームが着目したのが「カメラバッグ」。

カメラバッグは、繊細な機材を安全に持ち運ぶために設計されています。外部からの衝撃を吸収しながら、中の機材同士がぶつからないよう保護する。その構造は、キャンプギアの収納にも応用できるのではないかと考えました。

実際の開発では、生地やクッション材の厚み、仕切りの構造などを繰り返し検証しました。

表地には耐久性と張りのある600Dポリエステルを採用。内部にはクッション材を配置し、衝撃を吸収できる構造を目指しました。

さらに裏地には起毛素材のトイクロスを採用。収納物への擦れを抑えながら、大切なギアをやさしく保護できる仕様にしています。

また、仕切りは自由にレイアウト変更が可能です。

収納するギアに合わせて空間を調整できるようにすることで、ただ入れるための箱ではなく、それぞれのギアに居場所をつくる収納を目指しました。


(写真:サンプル作成途中の様子)

 

最大の課題は“やりたいことが多すぎる”ことだった

開発が進むほど、やりたいことは増えていきました。開発初期の試作品は、今とはまったく違う姿でした。扉は5カ所。ポケットは4個以上。

「どこからでもアクセスできたら便利なはず」

と考えた結果、気づけばさまざまな機能を盛り込んでいました。

しかし試作を重ねる中で見えてきたのは、機能を増やすほど重量も増え、コストも上がり、構造も複雑になるという現実でした。

そこから再び設計の見直し。

″何を加えるかではなく、何を残すか。″

その視点で再度検証を続けた結果、最も使用頻度が高く、実際のキャンプシーンでも使いやすかった上面と正面アクセスへ絞り込みました。

開発は足し算だけではなく、不要なものを削る引き算も同じくらい重要でした。

 

(写真:初期サンプル)

 

軽量化と強度、その両立

ギアバンカーの開発において、最後まで答えが出なかったテーマのひとつが「軽量化」と「強度」の両立でした。軽くしたいけど、ギアを守るための強度も必要。

特に苦労したのが底面構造でした。
約80cmからの落下試験では、コンテナが斜めに落下した際の衝撃に耐えられるだけの剛性が求められます。

まず検討したのはアルミ板でした。

軽量化には有利でしたが、強度面に課題が残ります。

次に合板も候補に挙がりました。しかし繰り返しの衝撃による破損や、雨天での使用を考えると屋外ギアとしては不安がありました。

そこでステンレスを採用した試作へ進みます。

ところが今度は別の壁にぶつかります。コストとの兼ね合いから現実的だった1mm厚のステンレスでは、落下試験をクリアできなかったのです。

強度を上げるために厚くすれば重量とコストが増える。
軽くすれば強度が足りない。

その繰り返しでした。
最終的にたどり着いたのは、「必要な場所だけを強くする」という考え方です。

ステンレスの厚みは2mmへ変更。ただし底面全体を覆うのではなく、荷重が集中する箇所に限定して配置する構造へ見直しました。

その結果、強度・重量・コストのバランスがようやく成立。

外周フレームには軽量なアルミ、接合部や荷重が集中する箇所にはステンレス、収納部には600Dポリエステルを採用し、それぞれの素材が最も力を発揮できる役割分担に落ち着きました。

軽量化と強度は相反する要素です。その両方を成立させるために、素材選びから構造設計まで何度も見直しを重ねたことが、ギアバンカーの完成につながっています。

(写真:80cm落下試験時)

たどり着いたのは“道具管理を楽しむコンテナ”

ギアバンカーが目指したのは、

積み重ねても使いやすいこと。
必要な時にすぐ取り出せること。
大切なギアを安心して保管できること。

そのために、ハードコンテナとソフトコンテナ、それぞれの長所を掛け合わせながら収納するための箱ではなく、キャンプ中の道具管理そのものを楽しむためのコンテナとして誕生しました。約W37×D53×H32cmの収納力を確保しながら、本体重量3.9kgという軽量性と剛性のバランスを追求しています。

道具を探す時間、収納をやり直す時間、撤収時に荷物を詰め直す時間。

キャンプでは当たり前になっているその時間も、少し工夫するだけで快適になります。

ギアを運ぶためのコンテナでありながら、道具と向き合う時間そのものを豊かにする。それがギアバンカーです。

コードユニットとの互換性という考え方

ギアバンカーは、TOKYO CRAFTSの「コードユニット」と連結することで、さらに使い方が広がります。

コードユニットを重ねた状態でも中のギアへアクセスできる。

天板を組み合わせれば、簡易的な収納テーブルとしても活用できる。

いくつものパターンを検証し、一つのシステムとして成立することを目指しました。

収納とレイアウトを一体で考えられることも、この製品に込めた価値のひとつです。

 

開発者メッセージ

お気に入りのギアが増えてくると、収納は単なる片付けではなくなります。
どこに何を入れるか考えたり、使った道具を手入れして元の場所に戻したり。次のフィールドを思い浮かべながらギアを整える時間も、アウトドアの楽しみのひとつではないでしょうか。

ギアバンカーは、そんな時間をもっと心地よくするために生まれました。

大切なギアを安心して保管できること。必要なときに迷わず取り出せること。そして、道具を整理する時間そのものが少し楽しくなること。「道具と向き合う時間」まで豊かにしたいと開発しました。ギアバンカーが、皆さまのギアライフにとって、そんな存在になれたら嬉しく思います。

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