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2026.10.26

なぜ僕らはキャンプ道具を作り続けるのか|TOKYO CRAFTS 5年の物語

TOKYO CRAFTSは間もなく5周年を迎えます。代表の田中と、商品開発・デザインを担うメンバーが、これまでのプロダクトに込めてきた考えと、これからを語りました。

ウィングフォート|跳ね上げたパネルを畳まずに夜を迎える

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草原に設営したウィングフォート

動画 0:30〜|ウィングフォートの開発のきっかけ

麻生 健介
麻生 健介(開発部部長)TOKYO CRAFTSが何を実現するかでいうと、ユーザーが抱えている悩みや課題を解決して、キャンプにおける快適性や豊かさを実現するブランドでありたい。そういう思想でものづくりをしています。

ウィングフォートは、そのブランドの思想を体現したテントです。我々が持てる技術やデザインへの想いをすべて注ぎ込んだ、フラッグシップと言えるテントになります。

課題としてあったのが、跳ね上げの部分です。テント本体のパネルを跳ね上げても、寝る前やちょっと寒い時期にはフルクローズしないといけない。せっかく跳ね上げたパネルを、一度解除しないといけなかったんです。

お酒を飲んだ後や寝る前に、わざわざ外に出てその作業をやらないといけない。キャンプという非日常を楽しんでいる中でそういう作業が出ると、現実に戻されてしまう。それがストレスで、キャンプが楽しくないなというところが一つの課題としてありました。

キャンプってそういうものだよね、と普通とされてきた中で、果たしてそれが本当に快適なんだろうか。ツールームテントは、それ一つあれば手軽にキャンプが楽しめるのが売りなのに、ストレスや面倒くささが発生する。それは本当にツールームテントとして正しいのか。その常識を疑うところから、ウィングフォートが生まれました。
N氏
N氏(ウィングフォート デザイナー)ウィングフォートは、まずスタンダードなフレームワークにしようと先に決めていました。凝った骨組みにすると、価格が上振れしますから。そこからスタンダードなトンネル型の形で、皆さんが感じている不満や、共感を得られる部分を探して作っていった品物です。

トンネル型テントは、横を跳ね上げてタープのようにするのを皆さんやっていると思います。ただ従来のものだと、タープにした部分を寝る時に畳まなければいけない。それに、フレームの内側から幕を出すので、跳ね上げたものが分割されてしまう問題もありました。

タープ状のものを屋根まで上からかぶせて覆ってしまう方法もあるのですが、どれも自分の中ではしっくりきていなくて。一体感が失われている、動線に途切れがあると思っていました。それを解決するアイデアとして中間のところを通していくことを思いつき、そこをブレイクスルーとして仕上げていきました。

テンビ|企画の理想と、デザイナーが出した答え

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草原に設営したテンビ

動画 4:02〜|テンビの企画とデザイン

麻生 健介
麻生 健介(開発部部長)テンビは、ざっくり言うと、企画である私が本当に欲しいと思ったもの、作りたいものを作ったところが始まりです。機能とデザイン、さらにコストや価格まで、すべてを追求したものを作りたい。それをデザイナーさんに投げて、自分の理想と、ブランドとしてこうしたいというダブルスタンダードを押し付けた形からスタートしました。
鴨志田 栄汰
鴨志田 栄汰(テンビ デザイナー)キャンプで使うものがテントという大前提の中で、キャンプで過ごす時間はすごく大事なものです。自然の中、キャンプで過ごす時間を最大限大きくすることを、まずビジョンとして始まりました。

そのためにどういうテントが必要なのかを紐解いていく中で、設営にかかる時間はなるべく短いほうがいい。それに加えて、快適性も犠牲にできない。この2つを要素として検討を進めました。

デザインする段階では、さまざまな形が生まれては消えを繰り返しました。その結果が今のデザインで、後方部分が低い形になっています。これは機能とデザインの両方のバランスが取れている形だと思っていて、僕が一番印象に残っている部分です。

開発の4つのキーワード|新規性・共感・納得・コスト

山の稜線に設営したテント

動画 6:09〜|開発で大事にしている4つのキーワード

田中 淳也
田中 淳也(代表取締役社長)僕たちTOKYO CRAFTSがどんなことにこだわってプロダクトを開発してきたかでいくと、キーワードは4つあります。

1つ目は新規性です。既存のどこにでもあるようなものを僕たちが作っても、あまり意味を感じません。今までに見たことがない、なかった機構を非常に重視して開発しています。

2つ目が共感です。機能性やプロダクトのデザインにしっかり共感いただくことが、非常に重要だと思っています。

3つ目は納得です。僕らは機能性や合理性を非常に追求していて、そこにしっかり納得いただく必要があると思っています。

最後にコストです。お買い求めいただくユーザーの方からすると、絶対に避けては通れない目線だと思います。工場の方々にも非常に大きく支援をいただきながら、できる限り適正な価格で販売できるよう努力しています。新規性・共感・納得、そしてコストにも納得いただけることを、とても大事にして製品を作っています。
麻生 健介
麻生 健介(開発部部長)価格は、機能やデザインにすごくダイレクトに影響する要素だと思っています。最初の理想形が、コストとの兼ね合いでどんどん変わっていくのは仕方がない。コストを追い求めると、デザインや機能を削るトレードオフが発生してしまうんです。

そこのバランスをうまく取りながら、価格を追求する。テントでいえばポールを1本減らす、テンビでいえば後ろの方をあえて下げる。そういった工夫で、手軽な価格を実現しつつ、機能とデザインを損なわないように取り組んでいます。

TOKYO CRAFTSは、結構プロダクトアウトの思想なんです。自分たちがいいと思ったもの、欲しいと思ったものを実現しようと開発に取り組むのですが、これは本当にうちで出す意味があるのか、デザインはいいけれど本当に合理的なのか、という話が出てボツになることも多々あります。

デザイナーのこだわり|最後は直感で、世の中にないものを

草原に張ったテントとタープ

動画 8:59〜|デザイナーが大事にしていること

N氏
N氏(ウィングフォート デザイナー)自分のデザイン哲学に直結するのですが、合理的な形状、すごく実践的な形というのは当然であって、完全に合理的なものができたからといって、それをゴールにしないのが自分のポリシーです。

合理的な答えを何個か出すんです。例えばウィングフォートなら、合理性でいえば上からかぶせてタープにしてしまったほうが、コスト的にも合理的です。でも最終的には、ギア好きの自分の魂に問うて、そのフィルターを通して「これが欲しい」と思えるか。最後は直感で選んで作っています。
鴨志田 栄汰
鴨志田 栄汰(テンビ デザイナー)一番こだわっているのは、自分が作るデザインや企画、商品が必要であることです。今のキャンプ業界では、あるブランドが出した商品がすごく新しかったとしても、次にどこかの会社が似たような商品を出してくる。資源を使ってものを作る職業である以上、まだ世の中にないものを、ちゃんと価値として作っていくことを特に意識しています。

デザインを作る上では、美しさも、使ってもらう機能も、どちらも当然大事です。最初はデザインに惹かれて買った方に、その後も長く愛してもらうために、その人の変化に寄り添えるデザインを心がけています。その一つが拡張性や可変性で、これは僕がアウトドアのデザインを最初にやってきたから持っている要素だと思います。

テンビでいうと、長く使えることです。そのためには疲れてはいけない、なるべく楽であってほしいので、フレームが3本というところにはすごくこだわりました。その時々で変わる景色をキャンプの時間の中でしっかり捉えられるよう、天窓やTPUの部分を増やしたところにも反映されています。

片岡 哲|原因と結果が一致するデザイン

草原に張ったテントとタープ

動画 11:40〜|プロダクトデザイナー 片岡 哲が考えるデザイン

片岡 哲
片岡 哲(プロダクトデザイナー)片岡哲です。大学を卒業してから、ソニーのプロダクトデザイナーとして16年ほど、ウォークマンやハンディカム、VAIOといった電気製品のデザインをしていました。その後独立して片岡デザインスタジオを立ち上げ、今はフリーランスのデザイナーです。グッドデザイン賞の審査員や大学の非常勤講師も並行して務めています。

大きな話でいうと、ものを作ることすべてがデザインだと思っているんです。誰かが作ったものを体裁よく、かっこよく、美しく、外装を魅力的に仕上げることがデザインだと思っている人が多いと思います。でも、なぜこのコップが必要なのか。水を飲むものか、お酒か、コーヒーか。そこから遡って、すべてがデザインだと思っています。

デザインする時にいつも考えているのは、原因と結果が一致しているデザインがすごくいい、ということです。美しい形をデザインしたけれど、機能を犠牲にして美しくしたのではないか。そういうところは避けて、美しい形イコール機能もちゃんとそこにある、というものづくりを心がけています。

――機能を追求した結果が美につながり、美を追い求めても結果として機能的にいいものになっている。両側面から辻褄が合う、というイメージですか?

片岡 哲
片岡 哲(プロダクトデザイナー)そうですね。例えばポルシェは、みんなかっこいいと言いますよね。どこがかっこいいのかと聞くと、後ろのフェンダーの柔らかいラインや面の流れが綺麗だと言う。でもあれは、ポルシェだからこその造形なんです。

エンジンが後ろにあると、後ろに重さがかかるのでタイヤが太くなる。本体の幅から出てしまうそのタイヤを、空力も考えながら綺麗につなぐと、あの形になる。機能的な結果としての形ですが、そういう機能のことを知らなくても、みんな美しいと思うんです。

ブランドの始まり|焚き火を眺めて軽くなった心

テントの前で焚き火をする様子

動画 15:10〜|TOKYO CRAFTSが始まったきっかけ

田中 淳也
田中 淳也(代表取締役社長)株式会社タナクロは14年ほどやっている会社で、TOKYO CRAFTSは間もなく5周年を迎えます。TOKYO CRAFTSを始める2年ほど前に、YouTubeの「タナちゃんねる」を始めました。もともと、自分自身ものへのこだわりがかなり強かったんです。

それから、心がすごく苦しい時に、友人に誘ってもらってキャンプに行ったんです。ただ焚き火を眺めていたら、すごく心が軽くなった。自然の力って本当にすごいなと思いました。ただ火を見ているだけなのに、苦しかったことがすっと軽くなったんです。

この気持ちを、もっとたくさんの人に共有したい。だったら自分たちのブランドを作ろう。ただしそのブランドは、物だけを届けるのではなく、自然とシームレスにつなげられる価値を提供したい。そういう想いから始まったのがTOKYO CRAFTSです。
麻生 健介
麻生 健介(開発部部長)これまでの5年間、「言語化できない満足感を。」というテーマを掲げて走ってきました。キャンプ道具はあくまで手段で、目的ではない。ものを売りたいわけではなく、ユーザーが我々のプロダクトを使うことでキャンプがより良くなる。それを目指すための道具だと思っています。

今トレンドだから、売れているから作るのではなく、本当にユーザーの悩みに寄り添ったものを作りたい。そこから作っているので、唯一無二のもの、これまでなかった革新的なものを生み出す方向に向かえているのかなと。そこが強みであり、TOKYO CRAFTSらしさだと思います。

参画した理由|人柄への共鳴と、意見を言い合える関係

草原に設営したテント

動画 17:39〜|デザイナーたちがTOKYO CRAFTSに参画した理由

――どういうところに共鳴して参画したのか、教えていただきたいです。

N氏
N氏(ウィングフォート デザイナー)参画したのは、かなり最初だったんです。田中さんが事業を始めた一番最初の時にお声がけいただいて、その時はまだTOKYO CRAFTSがどういうブランドか見えていなかった。正直なところ、田中さんの人柄に共鳴したところから来ています。チャレンジャーというか、何か面白いなこの人、というのにすごく共鳴しました。
鴨志田 栄汰
鴨志田 栄汰(テンビ デザイナー)最初はご縁があって、僕も駆け出しの頃に一緒にお仕事をさせていただき、もう4年ほど経ちます。ここまで一緒にできている一番の理由は、商品に対しての意見を愚直に言い合えることです。それによって、TOKYO CRAFTSの商品はオリジナル性がすごく高いと思っています。さっき話した必要性にもつながるところで、そこにすごく共鳴して今に至ります。
片岡 哲
片岡 哲(プロダクトデザイナー)今の世の中は、AIやバーチャルの世界がすごく進んでいて、リアルワールドでのものづくりがすごく減っていると思うんです。僕はずっとリアルワールドのものづくりをしてきた人間なので、仕事をできる場が少なくなっていると感じていました。

ただ、人間は実際にリアルワールドにいます。人間が関わるリアルなものを、ものづくりの本質に近いところでできるのは何かと考えた時、キャンプ用品は機能と最終的な製品が合致していて、昔からやってみたいと思っていました。

たまたまTOKYO CRAFTSさんのデザイナー募集のような記事を見て、一緒にやってみたいと思い、軽い気持ちでメールを一回送った。そういう経緯です。新しい会社なので、これじゃなきゃダメ、という凝り固まったところがない。だったら一緒に作り上げていけるんじゃないか、という期待がありました。

これまでの製品を見ても、一番の魅力は、他にはない、TOKYO CRAFTSにしかない製品だということだと思います。キャンプ業界はヒット商品が出ると似たようなものをいろいろなメーカーが出しますが、キャンプブームだからこれを作れば売れるでしょ、ということをTOKYO CRAFTSはやっていない。

一番嫌なのは、他社でこういうのが売れていて、形がかっこいいとみんな言うから、あんな感じのものを作りましょう、というやり方です。色も同じです。それより、新しい機能を思いついて、その機能を持った製品を作ったら全然違う形になった、というほうが魅力的だと思います。

5年間|プロダクト勝負と、「他にない」を守る判断

森の中に張ったテントでくつろぐ様子

動画 22:07〜|これまでの5年間

田中 淳也
田中 淳也(代表取締役社長)僕はものづくりでいくと全くの初心者で、何もわからない新参者でした。ただ本当に初期の頃に、僕たちがやりたいことに共感してくれたデザイナーの方がいて、その方に多く支えていただいて今に至ります。それがTOKYO CRAFTSの芯の部分だと思っています。

もともと僕がやっていたYouTubeの「タナちゃんねる」では、道具の紹介や、ソロキャンプに行く動画を配信していました。その中の一つに、キャンパーさんを取材して、どんな道具をなぜ使っているのかを深掘りする番組がありました。

毎週キャンプ場に行ってお声がけをして、たくさんのキャンパーの声を聞く。その人がなぜその製品を選ぶのか、どういう機能を求めているのかを自分自身で吸収しながら、自分たちで作るならこういうブランドがいいんじゃないか、とTOKYO CRAFTSを創業しました。

TOKYO CRAFTSを唯一無二としっかり感じ取っていただけるように、プロダクトを開発しています。そのために新規性、納得感、共感性、そしてコストについても、非常にシビアにチーム一丸となって向き合っています。

これまでの5年間は、とにかくプロダクト勝負で来たと思っています。単一のプロダクト一つひとつで、そのカテゴリーに挑んでいた。ただここからの5年、10年は、プロダクト勝負だけではない次元に入ってきていると思います。

根幹としては、今まであるものと同じようなものを僕らが出しても、僕らにとって何の価値にもならないし、やりたいことではない。やろうと思えば、もっと早いタイミングで大量の製品をリリースすることもできました。

それは社内でも侃々諤々、みんなでかなりディスカッションをして、結果的にはオリジナルではないプロダクトはあまり出さない方向に、毎年軌道修正してきました。その根源は「他にない」を守り抜きたかったから、ということに尽きると思います。
麻生 健介
麻生 健介(開発部部長)目指していきたい方向には、攻めと守りの2つの軸があると思っています。攻めは、挑戦し続けること。TOKYO CRAFTSも、タナクロという会社も、挑戦し続ける企業であることがいいところで、挑戦し続けたからこそ5周年を迎えられたと思います。

自分は商品開発として携わって、この5年間で200〜300の商品を出しました。5年でここまで展開しているブランドはあまりないと思いますし、日本国内だけでなく海外にも拠点を増やせています。挑戦し続けることは、革新的なもの、他にはないものにもつながると思うので、これからも挑戦し続けたいです。

一方で守りの部分。会社が大きくなるにつれて利益も大事になってくると思いますが、我々が存在する根底にあるのは、プロダクトを使ってくださるお客様に寄り添うものでありたい、ということです。ユーザー視点を忘れない、初心を忘れない。本当にユーザーのことを考えたものづくりを、今後も続けたいと思っています。

TOKYO CRAFTSという名前|東京の機能美と、自分たちで作り上げること

イベント会場に集まるTOKYO CRAFTSのスタッフ

動画 26:36〜|ブランド名に込めた意味

田中 淳也
田中 淳也(代表取締役社長)TOKYO CRAFTSは、東京とクラフトという2つの言葉を掛け合わせています。創業当初から、とにかくグローバルで成功したい、グローバルでこのブランドを広めたいという想いがとても強くありました。

海外では、日本やジャパン、富士山といった言葉がとても有名です。それでも東京にしたのは、東京は都市として世界的に大きくないにもかかわらず、機能美があり、インフラなども徹底的にこだわり抜かれた、合理性のある場所だと思っているからです。クラフトには、自分たちで作り上げるという意味を込めています。

実際ここ2年ほど、海外でかなり活動を広めています。その中で、日本以上にTOKYO CRAFTSを好きになって、応援してくださる方もいます。

言われて嬉しいのは、ユーザーの方からの「他にない製品」「唯一無二だよね、その姿勢を貫いてほしい」という声です。定期的にいただくのですが、自分たちのプロダクトを心から応援いただけているんだと、とても嬉しく思います。

これから|作り手それぞれの生き方

草原に設営したテント

動画 28:13〜|デザイナーたちのこれから

鴨志田 栄汰
鴨志田 栄汰(テンビ デザイナー)自分は一体どういうデザイナーなんだろう、と最近考える機会がありました。今思っているのは、僕は現象をデザインするデザイナーなんだ、ということです。

現象というのは、たとえばある人がそれまで堕落した生活をしていたのに、僕が作ったデザインを通して、高揚感のある幸せな生活スタイルに変わっていった、というようなことです。その人や社会に対して、新しい風潮や文化、現象を生み出す装置を作るデザイナーなのかなと思っています。

今は主にプロダクトデザイナーとして活動していますが、実はプロダクトにこだわっているわけではありません。新しい価値、より良くするための、現象をデザインするために必要な行動を、どんどん裾野を広げてやっていけたらと思っています。
N氏
N氏(ウィングフォート デザイナー)今40歳になったんですけど、自分の寿命に対して作る量が足りないと思っているタイプなんです。100歳まで生きても、50個ぐらいしかものを作れないと思うと寂しい。それで独立してやっています。

これからどう生きるか。ものづくりがすごく好きなので、それを通してみんなに喜んでもらって生きていけたら、それ以上のことはありません。本当は社会的な課題なども言いたいのですが、素直に言うと、自分が楽しいからものを作っている、というのが本当のところです。
片岡 哲
片岡 哲(プロダクトデザイナー)若い時は目標を設定して、あそこに向かっていくんだ、というのが皆さんあると思います。僕はもう去年で60歳になって、残りの人生どうしようかとなった時に、これで世界を取りに行くということではなく、死ぬまでデザインをやっていくにはどうしたらいいかを今考えています。

仕事ではあるけれど、デザインすることが人生の一番の楽しみなんです。キャンプするのも楽しいですけど、デザインするのはもっと楽しい。これをいつまで、誰にも負けないレベルでやり続けられるか。あえて言うなら、それが目標、ビジョンですかね。

自然とともに、澄んだ時間を生きる|これからの5年

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ブランドメッセージ「自然とともに、澄んだ時間を生きる。」

動画 31:16〜|5周年で定めたブランドメッセージ

田中 淳也
田中 淳也(代表取締役社長)アウトドアやキャンプには、人それぞれのスタイルがあると思っています。この5周年を機に、僕らはコンセプトとは別に、ブランドメッセージを新たに定めました。「自然とともに、澄んだ時間を生きる」という言葉です。

アウトドアの定義や、自然への向き合い方、関わり方は、人によっていろいろあると思います。僕らはアウトドアとはこういうものだと基本的には定めずに、自然と関わり続けたい、自然を感じたいと思っている方々に広く門戸を開いて、アウトドアとの時間を充実させられるプロダクトやサービスを提供できるブランドを目指しています。

当初は僕自身がソロキャンパーで、製品もソロキャンパー向けばかりでした。ただ、たくさんの方々から、ファミリー向けのテントを出してほしい、二人で使える道具を作ってほしいという声をいただき、最初は男性的だったところを少しずつ、女性でも使えるような雰囲気や道具にしてきました。

そうした中で、自分も家の中でキャンプ用品を使うことが結構あるんですよね。TOKYO CRAFTSならではの、外でも中でも使えるものを企画して生まれたのが、まさにコードユニットのような製品です。

これから目指している未来は、新しく発表したブランドメッセージ「自然とともに、澄んだ時間を生きる」を体現できる道具やサービスを提供していきたい、という一言に尽きます。

1つ目の要素として、道具はこれまで通り徹底的に合理性を追求しつつ、これからはデザイン性もより追求していきたいと思います。外で使って、中でも使って、自然と自分自身の生活をよりシームレスにつないでいける道具を作りたいので、機能性・合理性とデザイン性を両立させていきたいです。

2つ目は、昨年末に発表したクラフトケアというサービスです。いわゆる保証制度やアフターサービスの類のものですが、「並走哲学」という理念を定めています。僕たちの道具を素材の寿命が尽きるまでとことん並走して、永く使っていただけるよう、できる限り寄り添っていきたい。そのためにクラフトケアを重要視しています。

僕たちは、自分自身がアウトドア業界の初心者だったからこそ、自由な発想で、これまでのルールやしきたり、既成概念にとらわれずにやってきた5年間だったと思います。

これからの5年間は、その芯の部分はぶらさずに、「言語化できない満足感を。」という僕自身の原体験からくる言葉と、5周年で定めたブランドメッセージ「自然とともに、澄んだ時間を生きる」を体現していけるように、やっていきたいと思っています。

5年をふりかえって|波乱の日々と、チームへの想い

雪の中、テントの前に並ぶTOKYO CRAFTSのメンバー

動画 35:22〜|5年間をふりかえって

麻生 健介
麻生 健介(開発部部長)TOKYO CRAFTSやタナクロは、外からは順風満帆、勢いがある、という声をいただきます。でも創業メンバーからすると、本当に波乱の5年間でした。成功もあれば失敗もあり、波がすごかったですね。

5年というのは、他のブランドさんからすると子どものような年月かもしれません。でも、その中にいた自分としては本当に一瞬で過ぎ去った、怒涛の日々を過ごしたという感じです。
田中 淳也
田中 淳也(代表取締役社長)チームに報いたい、という思いは実は結構強いんです。このブランドで関わってくださっている方々に、本当に報いたい。右も左も分からない僕らに、こんなに素晴らしいデザイナーチームができて、その方たちと二人三脚でここまでやれていることは、自分自身で誇れることだと思っています。

素晴らしいチームや工場、もちろん買ってくださるお客様も含めて、この関係性をもっと強く太くして、グローバルに広めていきたい。海外にも、今たくさんのチームやサプライチェーンの皆様がいます。

TOKYO CRAFTSに関わったら、真の意味で得をした、幸せになった、何かいいことがあった。そういうブランド、組織にしていきたい。それが一経営者として、裏側で考えていることです。