薪ストーブが使えるテント
冬キャンプの強い味方の薪ストーブ!対応しているテントの特徴や選び方・注意点を解説
薪ストーブに対応しているテントの特徴
冬キャンプを快適に楽しめる「薪ストーブ」。冬はテント内にいても、しんしんと寒さが忍び寄ってきます。いくら外で焚き火をして暖まってもテント内がヒンヤリしていてはくつろいだり寝たりできません。
薪ストーブがあれば、テント内で暖をとりつつ、焚き火のように火をいじったり炎を鑑賞しながら楽しめます。
テント内で薪ストーブを使用する際は「薪ストーブ対応」のテントを選びましょう。
薪ストーブ対応テントは、
- 燃えにくい素材を使用
- 煙突ポートが付属
- 換気機能付き
など、普通のテントとは異なる特徴を持っています。
ここでは、薪ストーブ対応のテントの選び方、テント内で使用するときの注意点、メンテナンス方法などを紹介します。
薪ストーブに対応しているテントの選び方
薪ストーブ対応テントは、国内外のさまざまなアウトドアメーカーが販売しています。デザインや雰囲気だけで選ばずに、以下に挙げるポイントを確認してください。
選び方①煙突穴が付いているテントかどうか
まず、薪ストーブ使用時にテント内に煙や一酸化炭素がこもらないように「煙突穴」が付いている製品を選んでください。
煙突穴とは、薪ストーブの煙突をテントの外側に出すための穴のことです。穴の位置はテントの種類によって低い位置にあるもの・高い位置にあるものなどまちまち。
煙突の熱で、テントが溶けないようにストーブジャック(煙突穴周辺の生地/煙突ガードとも)部分に耐熱加工を施したものを使用している製品がおすすめです。
選び方②素材は?耐火性に優れているテントだと安心
テント内で薪ストーブを使用する場合は、テントの素材自体が火に強く、燃えにくい耐火性・難燃性の製品だと安心です。
主に、コットンとTC素材の2種類が用いられているので、それぞれの特徴を知ったうえで選びましょう。
-コットン素材
コットン素材のテントは、ナチュラルな風合いが自然にマッチしておしゃれなサイトが作れます。
生地に厚みがあり遮光性に優れ、外気を遮断して夏は涼しく冬は暖かく過ごせるのも魅力です。
テント内が暖かくなっても吸水性があるため結露ができにくいのもメリット。耐火性・難燃性もあるためテント内で薪ストーブを使用しても安心です。
ただし、重量があり雨で水分を吸収すると乾かすのに手間がかかります。完全に乾かさないまま畳んで保管してしまうと、カビや劣化の原因になるので注意が必要です。
-TC素材
TC素材とは、テトロン(ポリエステル)とコットンの略で、その2つの繊維を混ぜて作った生地のことです。TC素材は、耐火性・難燃性があるのでテント内で薪ストーブを使うときには安心。通気性や遮光性も高く、結露しづらいのもメリットです。
ポリエステルだけのテントよりは重くなりますが、コットンだけのテントよりは軽量で、折りたたんでもシワになりにくいのも魅力。
ただし、コットンと同様に雨に濡れたら完全に乾かして収納しないと、カビや劣化の原因にもなるので丁寧に扱ってください。
選び方③テントのサイズは大きめを選ぼう
テント内に薪ストーブを設置するときは、テント生地にストーブが接触しないようにスペースをとる必要があります。椅子やテーブル、荷物なども置くので、ソロでもファミリーやグループでも、大きめのテントを選びましょう。
目安としては、キャンプに参加する人数+1〜2人で考え、広めのスペースが作れて高さがある大きめサイズを選んでください。
選び方④機能性も重要!通気性に優れている製品だと◎
テント内で薪ストーブを使用するときには換気も重要です。通気性を高める機能が備わっているかどうかもチェックしましょう。
ベンチレーションが付いているか?
ベンチレーションとは「換気口」のことです。ほとんどがテントの天辺近くにあり、下から上がってきた空気を外に逃します。
メッシュ窓が付いているか?
完全オープンやメッシュ、クローズにしたりと、開閉調節ができるメッシュ窓があれば、手軽にテント室内の換気や温度調節ができて便利です。
テントの裾にスカートがついているか?
スカートとは、テントの裾から地面に伸びるカーテン状の生地のことです。テントの裾から室内に忍び寄る冷気を防ぐことができます。薪ストーブで暖まった空気を外に逃しにくくなるのもメリットです。
ただし、ときどき持ち上げて換気が必要です。スカート付きのテントの場合は、ベンチレーションやメッシュ窓が充実している構造の製品を選びましょう。
選び方⑤設営が簡単なテントだとすぐに暖がとれる
寒さの厳しい冬キャンプでは、テントの設営や撤収に時間がかかり過ぎないことも大切です。
複雑な構造だったりパーツが多いテントだったりすると、寒さの中震えながら設営しなければなりません。シンプル構造のテントならスピーディーに設営できます。
以下のテントなら、素早く設営できるでしょう。
ワンポールテント
ポールを1本使用して設営する三角錐型のテントです。ポールをセンターに立て、テントをペグダウンして地面に固定するだけの単純な手順で、スピーディーに設営や撤収ができます。
ただし三角形なので、上部から下部にかけて壁面が斜めになっていき、高さの割に狭くなっていくのが難点。薪ストーブを使用する際は、大きめサイズを選ぶほうがいいでしょう。
ベル型テント
ベル型テントも、中心にポールを立てるだけで設営できる三角錐型ですが、ワンポーツテントと違い途中から底にかけて真っ直ぐになっている壁があり、デットスペースが少なくなります。
テントをペグダウンして地面に固定し、ポール1本でセンターを立ててから、ポール2本で出入り口を立ち上げる設営方法です。人数+1〜2人分の大きめサイズを選んでください。
ハップテント
アレンジを楽しめるパップテントは、基本的に2本のポールでテントを立ち上げてペグダウンしロープを張るだけです。
設営が簡単で携帯性にも優れていますが、開放的なので冬場使用する際は前面やサイドウォールが付いているタイプでないと薪ストーブを使用しても寒いでしょう。
テント内で薪ストーブを使用するときの注意点
テント内で薪ストーブを使用すると、寒い冬キャンプを快適に過ごせるため、ストーブを設置する人が増えてきた反面、事故や火災などの事故も多くなっています。
そのため、屋外で使用するのはOKでも「テント内の薪ストーブは推奨しない」または「禁止」としているキャンプ場もあります。
日本発のオリジナルキャンプギアブランド「TOKYO CRAFTS」でも、簡単に設営でき丈夫でおしゃれなテントを取り扱っていますが、テント内の燃焼器具の使用は「厳禁」です。
薪ストーブは当然ながら火を使うので、取り扱いには注意しなければなりません。危険な一酸化炭素中毒や火災などを招かないためにも、基本的な注意点を知っておきましょう。
注意点①一酸化炭素中毒には細心の注意を
一番気をつけたいのが「一酸化炭素中毒」です。
薪が燃焼するときは、空気(酸素)を消費します。外の冷気が入り込まないように閉め切った状態のテント内で薪を燃やせば燃やすほど、多くの酸素を消費して酸素濃度が低下します。
すると、不完全燃焼が起こり一酸化炭素中毒を引き起こす危険性があるのです。ぬくぬくしていたのに、気がついたら頭痛・吐き気に襲われて意識が混濁してしまうことも。
一酸化炭素中毒を回避するためには、意識的に30分に1回はベンチレーションやメッシュ窓を開放して、積極的に換気を行いましょう。
ストーブの煙突に煤が詰まって、不完全燃焼をおこさないようにこまめに手入れをすることも重要です。
携帯用の一酸化炭素チェッカーも必須ですが、過信せず常に換気を意識してください。
注意点②ストーブの周りには物を置かない
薪ストーブの近くには、荷物や寝袋を置かないことも大切です。テントは耐火性・難燃性素材のものを選んだとしても、絶対に燃えないというわけではありません。
思わぬ強風や地震などでストーブが倒れ、側にある燃えやすいものに引火してテントに飛び火することも考えられます。
ストーブを設置する際には、安定している場所で倒れないように脚周りはブロックなどで固めてください。
また、ガイロープや煙突ガードを使用して煙突を固定しましょう。煙突ガードはテントと煙突が直接触れ合うのを防いでくれます。
注意点③就寝時は火を消す
薪ストーブでテント内が暖かくなってくると、眠くなりますよね。しかし、一酸化炭素中毒や火災などのリスクがあるので、必ず就寝時には火を消してください。グループキャンプのときは、火を消す担当者を決めておくといいでしょう。
注意点④風があるときは使用しない
強風のときは、テント内で薪ストーブは使用しないでください。風で煙がテント内に逆流したり、風に煙突が煽られて本体が転倒したり、テント自体が倒れたりなどの危険があります。
薪ストーブのメンテナンス方法
薪ストーブはメンテナンスが必要です。特に重要なのは煙突内部の掃除。
煙突内部に付着した煤やタールをきれいに掃除しないと、ストーブ燃焼中に発火する「煙道内火災」の原因になり危険です。
また、本体の接合部分・扉・ガラスに使われているセメントやガスケットにすき間がないかもチェックが必要。問題があるまま使っていると、火災の危険性もあります。
【煙突のメンテナンス】
薪ストーブ煙突掃除用のステンレスブラシを使って、煙突内をゴシゴシ擦ります。薪ストーブを使用するたびに毎回掃除してください。
【ストーブ本体のメンテナンス】
薪ストーブ本体は使用後に灰をすべて取り除かないと、灰が水分を吸って床が錆びてしまうこともあります。灰が完全に冷めてから掃除してください。
ガラス面はガラスクリーナーで磨いて、塗装で剥がれている部分があればストーブポリッシュで補強しましょう。
ドアはしっかり閉まるか、留金(ラッチ)は緩んでいないか、ガスケット(扉などの開閉部に付けられているパッキンの役目を果たすロープ)が潰れたり隙間ができたりしていないかも確認してください。
薪ストーブを正しく安全に使って冬キャンプを楽しもう!
寒さの厳しい冬キャンプでも暖かく過ごせる薪ストーブ。暖かいのはもちろん、炎の揺らぎを鑑賞したりお湯を沸かしたりもでき、非日常的な雰囲気も写真映えしますよね。
正しい使い方や注意点に気を付けて、冬キャンプを楽しんでくださいね。